芝地の雑草の見分け方と防除 (12)

−ヤハズソウの仲間−


<はじめに>

今回はマメ科(Leguminosae)のヤハズソウ属(Kummerovia)とハギ属(Lespedeza)について述べる。ヤハズソウ属は世界に2種しかなく、ハギ属に分類されることもある。ヤハズソウ属の属名KummeroviaはKummerow教授の名を記念したもので、ヤハズソウの種名striataはラテン語で‘線のある’という意味であり、その小葉の支脈が平行して斜めに上がり、目立つことにもとづくものと思われる。和名のヤハズソウ (矢筈草) のヤハズとは、矢の上端の意味で、葉の基部を持ち、葉先を引っ張ると、途中から葉脈に沿って矢羽形に切れるのでこの名がある。また、ハサミの形にも似るのでハサミグサと呼ばれることもある。

メドハギの種名cuneataは‘くさび形の’の意で、小葉の形から名づけられた。和名のメドハギ(蓍萩)は茎を占いの莝(めどぎ)に用いたのでこの名がある。メドハギは直立するが、変種のハイメドハギ(這蓍萩)は茎の下部が地を這う。

<共通点>

葉は3小葉の複葉で、互生する葉の葉腋に花がつき、マメ科特有の蝶形。果実は扁平で裂開せず、中に1種子。

<見分け方>

見分け方のポイントをまとめると写真下の説明のようになる。ヤハゾソウ属は3小葉が掌状複生(葉軸が不明瞭)で1年草であるが、ハギ属は3小葉が羽状複生(葉軸が明瞭)で潅木又は多年草である。

<その他の類似雑草>

マルバヤハズソウ Kummerovia stipulacea Makino:マルバヤハズソウ(丸葉矢筈草)はその小葉がヤハズソウより丸いことからついた名である。ヤハズソウと同じく1年草。小葉はヤハズソウより円く倒卵形で、先端がくぼむ葉の縁に毛が有り、茎には上向きの毛がある。花は、旗弁がうす紅紫色で、側弁が白色、竜骨弁の先は濃い暗紫色。果実は先が丸く、がくよりはるかに長い。がくには毛がない。

ネコハギLespedeza pilosa (Thunb.) Sieb. et. Zucc.:茎は細く長く地面を這い、茎も葉も全面白い長い立った毛で被われている。小葉は円状楕円形で、先端は円形またはわずかにへこむ3小葉の中央の葉軸がはっきりしている。花は白色で、基部は紫色を帯びる。葉腋に1〜5個ずつ集まってつく。花期は夏。果実は幅広い卵形で、軟毛を密生する。

<発生生態>

ヤハズソウは一年草で、種子で増え日当たりの良い芝地に群生する。耐乾性に冨み、共生する根粒菌の窒素固定により痩せ地に良く耐える。メドハギやハイメドハギは多年草で、地下茎でも増える。(宮島)

<防除法>

 春にイネ科用の土壌処理剤にSU剤を混用する方法や、広葉雑草にも効果のある発生前土壌処理剤を使用することが多い。しかし、防除効果は不十分なことが多い。原因は、メヒシバより早くに発生していて、ヤハズソウの発生前の処理になっていないことや、SU剤の除草効果がヤハズソウに対して低いこと、特に低薬量処理では十分な効果が現れにくいことが考えられる。それゆえ、散布時期を早めたり、SU剤を使用する場合には、登録薬量内で高めの薬量を用いる。それでも発生が見られる場合には茎が木質化するまでにホルモン剤を処理する。7月以降になると茎が木質化して固くなり、除草効果は低くなる。ただしホルモン剤を使用する場合には、春の萌芽期は避けること、部分処理やスポット処理をする場合には投下薬量、水量に注意する。

ヤハズソウ Kummeroviastriata Schindl.

生活型: 1年草  

茎:長さ15〜50cm 全面に下向きの毛が生える

花:うす紅紫色。葉腋に1〜2個(写真は9月)

小葉:長楕円形で、葉先はへこまない

果実:先が尖り、がくよりわずかに長い。がくには毛が有る。

 

 

幼苗:幼苗時には、まだ小葉は円形に近い。

(写真は4月)

 成植物:茎が木化する。(写真は9月)

 

メドハギLespedeza cuneata (DuMont de Courset) G. Don

生活型:多年草。

小葉:線状のくさび形で、先端は切り形又はくぼむ。3小葉の中央の葉軸がはっきりしている。

茎:直立し、先で分枝が多く、高さ60〜100cmほどになり、細毛が生える。(写真は7月)

花:黄白色で、下部だけ紫色。花期は秋。

果実:ほとんど円形で表面にまばらな毛がある。

ハイメドハギLespedeza cuneata var. serpens (Nakai) Ohwi

生活型:多年草

小葉:メドハギより短く幅が広い。

花:メドハギより紫色の部分が多い。

茎:やや太く、基部から倒伏し、地を這う。毛が開出(立っている)。 (写真は10月)