芝地の雑草の見分け方と防除 (13)

−タンポポの仲間−


<はじめに>

今回はキク科のタンポポ属について述べる。タンポポ属の属名Taraxacumはアラビア語で‘苦い’という意味で、葉などに多少の苦味があるためである。和名のタンポポ(蒲公英)は拓本などに使う布で綿を包んで丸くしたタンポに果穂が似ているのでついたと言われる。

地域ごとに特有の在来種のタンポポがあり、関西以西ではカンサイタンポポである。また、外来種のセイヨウタンポポやアカミタンポポがある。セイヨウタンポポはヨーロッパ原産で、明治初年に食用として輸入されたものが、繁殖力旺盛で日本各地に広まった。根は健胃薬になる。

<共通点>

多年草で、葉は根生葉、茎は花茎のみで分岐せず、その頂に多数の舌状花のみの頭花がただ1個つく。痩果には冠毛がある。

<見分け方>

葉の形には変異が大きく、見分けにくい。タンポポを見分けるには総苞が重要で、総苞外片が反り返るものが外来種である。在来種は反り返らない。総苞の色、大きさ、内外片の長さの比、角状突起の有無、外片の形などで見分ける。また、頭花の大きさ、舌状花や痩果の色の異なるものがある。

主なタンポポの見分け方のポイントをまとめると写真下の説明のようになる。

<その他の在来種>

エゾタンポポTaraxacum hondoense Nakai北海道、本州の中部以北に分布。総苞外片が、広卵形で角状突起はない。頭花の径は2〜4cm。葉の質は他のものよりやや厚い。

カントウタンポポTaraxacum platycarpum Dahlst.関東及びその周辺に分布。総苞外片は内片の約1/2の長さで、内外片共に角状突起がある。頭花は径3.5〜4.5cm。

トウカイ(ヒロハ)タンポTaraxacum longeappendiculatum Nakai本州の千葉県以西、東海道、南畿、中国地方まで分布。総苞外片は内片の1/2かそれ以上の長さで、大形の角状突起がある。頭花は径約3cm。

<発生生態>

タンポポは日当たりを好み、根生葉なので、刈り込みにかからず、芝地で繁殖しやすい。在来種のタンポポは春にのみ開花する。外来種のタンポポも同様に春が開花最盛期だが、それ以降も真冬を除いて年中開花する。冠毛があるので風で遠くまで広がり、放っておくと広範囲に群落を作ってしまう。在来種の種子は夏休眠し、秋に発芽してくる。しかも、多年生の直根で、地中深く入り、地上部だけを枯らしたり、切除しても根が残っていると再生してくるので、難防除雑草である。                  

<防除法>

 フェアウェイなど定期的に刈り込まれる所で多発することは少ないが法面ラフなどでは多くのゴルフ場で発生が見られる。除草剤による防除では発生が見られてからの対応が多いと思われるが、一度定着すると防除が困難な雑草であるため、発生させないことが重要である。

 発生前土壌処理剤の種類によっては、キク科を除く、また効果が劣ると表記されているものがあるので、タンポポ類のキク科雑草も含めた処理の場合には土壌処理剤の選択に注意が必要。SU剤でキク科に対して効果の有る除草剤には、発生前から発生初期での処理が有効とされるものが多いので、時期を失しないようにする。

 生育期になったものにはホルモン剤が有効であるが、タンポポの場合は葉が枯れても再び発生してくることが多い。また年数が経過して株化したものには定期的な反復処理が必要である。          

<参考文献>

長田武正著:原色日本帰化植物図鑑(1976,保育社) 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著:日本帰化雑草植物写真図鑑(2001,全国農村教育協会) 廣田伸七編著:ミニ雑草図鑑(1997,株式会社理研グリーン) 牧野富太郎著:牧野新日本植物図鑑(1961,北隆館) 浅野貞夫・廣田伸七編著:図と写真で見る似た草80種の見分け方(2002,全国農村教育協会) 大井次三郎著:標準原色図鑑全集9植物T(1967,保育社) 林弥栄総監修/畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道監修:野草見分け方のポイント図鑑(2003,講談社) 浅野貞夫著:浅野貞夫 日本植物生態図鑑(2005,全国農村教育協会) 清水建美編:日本の帰化植物(2003,平凡社)



▼セイヨウタンポポ Taraxacum officinale Weber

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ヨーロッパ原産帰化植物。周年開花し、群落を形成する。  

花茎:長さ20〜30cm 

総苞:外片が蕾のときから反り返る。

頭花:黄色で、大きく径4〜5cm (写真は4月)

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茶褐色の痩果に冠毛があり、それが集まって球状になる。

根:直根が年々太り、分岐して地上部が叢生する。

▼アカミタンポポ Taraxacum laevigatum DC.

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アカミタンポポはセイヨウタンポポとほぼ同じ形態であるが、痩果の色が赤褐色である。

左:アカミタンポポの痩果 右:セイヨウタンポポの痩果

▼カンサイタンポポ Taraxacum japonicum Koidz.

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花茎:約20cm 頭花:黄色で、やや小さく、径2〜3cm

分布:近畿以西、四国、九州

総苞:総苞外片が内片の1/2以下の長さで、角状突起がないか、または小突起がある。

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左:セイヨウタンポポで総苞外片が反り返る。 中央と右:カンサイタンポポで総苞外片が内片の1/2以下の長さで、角状突起がないか、または小突起がある。

▼シロバナタンポポ Taraxacum albidum Dahlst.

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花茎:花時には葉よりも長い。総苞:外片は卵状長楕円形で、上端に顕著な角状突起がある。葉:縁が淡く葉脈が白色。

頭花:白色で、大きく、径3.5〜4.5cm。(写真は3月)

分布:関東以西、四国、九州

 

※従来、上記のようにタンポポの花の下にある外総苞片が在来種ではこれが反り返らず、外来種なら反り返るということでみわけてきたが、実際は両者の間で雑種が生まれ、中間的な個体が多く見られるので見分けるのが難しくなっている。在来種の多くは染色体が16本の2倍体、外来種のセイヨウタンポポ、アカミタンポポは24本の3倍体である。雑種では4倍体、3倍体、雄核単為生殖雑種(3倍体)などが見つけられている。外総苞片の反り返りの5段階評価、花粉の有無、DNA分析など、有効な調査方法を検討する必要が出てきている。(朝日新聞2004年4月3日夕刊より)