芝地の雑草の見分け方と防除 (3)

−オオイヌノフグリの仲間−

<はじめに>

 早春一番に咲く雑草の花はオオイヌノフグリである。可憐な花であるが、この名前のイヌノフグリというのは果実の形を犬の陰嚢に例えたものである。
 その後4、5月になって、タチイヌノフグリがもっと小さな花を咲かす。茎が立ち上がってくるので、タチイヌノフグリというが、いずれも秋に発生し、冬を越すのである。今回はこのゴマノハグサ科クワガタソウ属の雑草の見分け方と防除法について述べる。

<共通点>

 ヨーロッパ原産の帰化植物。越年生草本。葉は下部で対生、上部で互生。花は左右相称で、花冠は合弁で、4裂する。葉腋ごとに単生。萼へんが花後も残って果実を抱く。

<見分け方>

 株が匍匐するか、直立するか。花の大きさ、花柄の長さ、葉の形、果実の形などによって見分けられる。詳しくは写真下に記載した。

オオイヌノフグリ

茎に軟毛があり、基部で分枝し、匍匐して四方に広がる。葉は卵円型で少し鋸歯があり下部の葉は柄があり対生、上部は無柄で互生。(5月)

花は葉腋ごとに単生、花柄は葉より長い。

直径1cmほどの4裂した青色の花冠には藍色のすじがある。花期は1月〜6月。(5月)

幼苗。上面に粗い毛を散生。(11月)

さく果はやや扁平で、横幅の広い倒心臓形。ヘリに長い毛があり、両面に短毛を散生。がくへんが花後も残って果実を抱く。(6月)

タチイヌノフグリ

茎には短毛があり、基部をのぞいて直立。葉は3角状卵形で縁に鋸歯があり、ほぼ無柄で対生。上部では苞葉となり互生。淡紅紫色の花をつける系統も見られる。(5月)

幼苗。(2月)

花柄はなく、葉腋に一つずつ、直径4mmほどの4裂した青色の花をつける。

4月〜7月に花が咲く。オオイヌノフグリよりも遅い。(5月)

果実は倒心臓形。扁平でヘリに毛を散生。(6月)→

それをまとめると下の表のようになる。

オオイヌノフグリVeronica persica Poir.

タチイヌノフグリVeronica arvensis L.

基部から分枝して匍匐し、4方に広がる。

基部をのぞいて直立。

上面に粗い毛を散生。卵円形。

3角状卵形で、茎の上部では細い苞葉となる。

直径1cmほどの藍色のすじの入った青色の花。

花柄は葉より長い。

直径4mmほどの濃青色の花。

花柄はほとんどない。

果実

やや扁平で、横幅の広い倒心臓形。ヘリに長い毛と両面に短毛を散生。

扁平で倒心臓形。へりに毛を散生。

  は見分け方の重要点を示す。


<その他の類似雑草>

 イヌノフグリVeronica didymaTenore var. lilacina (Hara)Yamazaki:葉は卵円形。花柄は葉とほぼ同じ長さ。花冠は直径3〜4mmで淡紅色、ときに白色にちかい。果実は2個の球を接した形で両面にふくれ、全面に細かい軟毛を密生。在来種であるが、減ってきている。

 フラサバソウVeronica hederaefolia L.:花時まで子葉が残る。葉は広卵形。花冠は直径4〜5mm,淡青紫色。花柄は葉とほぼ同じ長さ。果実は球形で4条のごく浅い溝があり、無毛。がくのへりには多細胞毛が列生する。


<発生生態と防除>

秋に発生し、幼苗のまま越冬し、翌春株化するので、秋の発生前に土壌処理剤や茎葉兼土壌処理剤を処理する。発生後は生育期にならない春までにSU剤やホルモン剤を処理するが、除草剤の種類によっては効果が不充分な場合があるので、イヌノフグリ類に有効な剤を選択する。

タチイヌノフグリは、4月〜5月の初夏にも発生があるので、タチイヌノフグリが多い所では、茎葉兼土壌処理剤の処理、茎葉処理剤の反復処理が必要である。