芝地の雑草の見分け方と防除 (21)

−メリケンカルカヤ−


<はじめに>

 茅(かや。「萱」とも書く。)と呼ばれるものは、細長い葉と茎を地上部に立て、古くから屋根材や飼肥料などに利用されてきた草本の有用植物の総称である。

 今回はイネ科雑草のメリケンカルカヤ(米利堅刈萱)についてみる。北アメリカ原産の帰化植物で、アメリカンの発音が日本人の耳にはメリケンと聞こえ、茎が根元から直立状に伸びるオガルカヤやメガルカヤに似ていたので、メリケンカルカヤの名がついた。茅葺き屋根を葺く材料として刈るので‘刈萱’で、草姿が赤っぽいので、‘雌’がついて、メガルカヤ。メカルガヤの根は硬くて、これを集めて、たわしを作っていたようでカルカヤだわしと呼んだ。

<共通点>

 イネ科多年草で葉は線形で細長く、先はとがり、先端は垂れ下がる。花期は9〜10月。株は直立し、晩秋に褐色になって枯れ残る。

<見分け方>

 花序のつき方、小穂の数、白毛の有無。詳しくは写真下の解説のようになる。

<類似雑草>

 フトボメリケンカルカヤAndropogon glomeratus (Walter) Briton. Sterns et Poggenb. (E) bushy bluestem 北アメリカ原産多年生草本。メリケンカルカヤの草丈を大きくし、花序を太くした形。花序の枝には2〜5個の小穂を5〜12対つけ、芒の長さが2p程度で剛毛状となり、硬く量の多い髪の毛を思わせる。

 オガルカヤCymbopogon torilis Hitche. Var. goeringii Hand.-Mazz.包葉の間から花序が2個ずつでて、さらに各節に小穂が2個ずつつく。小穂は柄がなく芒がある。遠くから見るとスズメかトンボがとまっているように見え、独特な花穂となる。属名のCymbopogonは‘小舟型の髭’の意。茎と葉に香りがある。

<発生生態>

 メリケンカルカヤは日当たりがよく、乾燥した場所を好む。小穂の根元に白い長い綿毛が多数生え、わずかな風でも種子が広範囲に散布される。この種子と根茎で越冬、繁殖する。繁殖力旺盛で、外来生物法により、要注意外来生物に指定されている。

<防除法>

 種子からの発生を抑えるためには、春期にイネ科雑草対象の土壌処理剤を処理する。発生後は大きな株になるまでにアシュラム剤やSU剤を混合したものを定期的に処理。刈り込みを行っていると発生に気が付きにくく、目立つようになった時には大きな株になっているので注意が必要。大きな株になった場合は秋に穂を付けるまでに高頻度の刈り込みを行い、貯蔵養分を蓄えさせないこと。メリケンカルカヤの初期生育は遅いことから、他の草種との競合には弱いとされている。芝地であれば春に施肥を行い、芝密度、生育を旺盛することで定着はしにくくなると考える。

<参考文献>

廣田伸七編著:ミニ雑草図鑑(1997,株式会社理研グリーン) 牧野富太郎著:牧野新日本植物図鑑(1961,北隆館) 大井次三郎著:標準原色図鑑全集9植物U(1967,保育社)  大井次三郎著:日本植物誌顕花編(1978、至文堂) 高橋勝雄:山渓名前図鑑野草の名前秋冬(2003,山と渓谷社)岩瀬徹著、鈴木庸夫写真:野草・雑草観察図鑑(1998,成美堂出版)上村修二、勝山輝夫、清水矩宏、水田光雄、森田弘彦、廣田伸七、池原直樹編・著:日本帰化植物写真図鑑第2巻(2010、全国農村教育協会)



▼メリケンカルカヤ Andropogon virginicus L.

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草丈60p〜1m (写真は9月)

根茎で越冬し、再生。
しっかりと根を張っており簡単にはぬきとることができない

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葉身は2つに折れ、ふちにまばらに毛がある。
葉鞘の口には密に長い毛がある。

秋に包葉の腋から長い白い毛を持った花序が側生する。
花序は両性花と無性花からなる。

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幼苗。葉鞘は左右に圧着し、毛が長い。全体として扁平になる。(写真は9月)

晩秋には赤褐色になって枯れるが、枯草が立ち上がったまま残って目立つ。


▼メカルカヤ Themeda triandra Forsk var. japonica Makino

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茎は株になり高さ1m内外。

 葉の基部と葉鞘に長い毛がある。
 1つの小穂に見えるが、中には6個の小穂があり、その内真ん中の1つだけに、長く赤っぽい芒があり、結実する。
小穂は長さ約1pで芒は太く軟毛がある。