芝地の雑草の見分け方と防除 (18)

−カタバミの仲間−


<はじめに>

 今回はカタバミ科カタバミ属(Oxalis)の仲間カタバミ、オッタチカタバミとムラサキカタバミについてみる。カタバミの属名のOxalisは古いギリシャ語で‘酸味がある’という意味で、カタバミの種名のcorniculataは‘小さい角がある’の意味である。カタバミは茎から長い葉柄を伸ばし、その先にハート形の小葉を3枚ずつつけ、通常は広げているが、日が陰ったり、夜になると葉を折りたたむ睡眠運動をする。これが片(傍)側を食べられたように見え、‘傍食(かたばみ)’という名がついたようだ。その他葉や茎をかじってみるとシュウ酸が含まれており酸っぱいので、酸漿草といわれる。またこの葉で鏡を磨いたということから鏡草とも呼ばれる。本種は変異が激しく、下記のように様々なタイプがある。

 オッタチカタバミはカタバミが地を這うのに対して、地上茎が立ち上がることから名づけられたようであるが、早春は区別しにくい。 ムラサキカタバミは江戸時代末期に渡来し、観賞用に植えられたが、繁殖力が強く、各地で野生化している。

<共通点>

 多年草。葉は3個の小葉からなる複葉。小葉は幅の広い心臓形で、先がくぼむ。葉柄は長い。花は5弁。

<見分け方>

 茎が這うか、立ち上がるか。節から発根するか。托葉の形。果柄の伸び方など。写真の下の解説のようになる。

<その他の類似雑草>

 アカカタバミOxalis corniculata L. f. rubrihoria (Makino) H. Haraカタバミのうち葉が赤紫色のもの。花はカタバミと同じく黄色いが、花弁のどの部分に赤い輪がみられることが多い。

 ウスアカカタバミOxalis corniculata L. f. tropaeoloides (Schlachter ex Planch.)R. Knuthカタバミのうち葉が少し赤紫色のもの。カタバミとアカカタバミの雑種と推定される。

 タチカタバミOxalis corniculata L. f. erecta Makinoカタバミの一品種であるが、茎が直立するもの。オッタチカタバミのように茎が太くなく、節間が非常に長く、まばらに葉を互生する。果柄は下垂しない。

 イモカタバミOxalis articulata Savignyムラサキカタバミに近いが、麟茎ではなく、芋のような塊茎があり、子芋を作って増える。花は淡紅色が濃く、多数つき、葯が黄色である。

<発生生態>

 カタバミは良く果実をつけ、種子によって繁殖する。熟した果実に触ると、とたんに果皮が縦にさけ、種子が弾き飛ばされ広がる。この種子と匍匐茎の休眠芽から、春から夏にかけて次々と発生し繁殖力が旺盛である。成長して広がった匍匐茎はしっかり根が生えているので除去しにくく、これで越冬する。放っておくと大きな群落を作ってしまう。

 ムラサキカタバミは日本を含む温帯では花粉ができず、結実しないといわれる。代わりに、株もとに多数の麟茎ができ、これがはがれて、ひとつひとつから芽生えるため、増殖し厄介である。

<防除法>

 カタバミに対して有効な除草剤はALS阻害剤やホルモン剤であるが、ホルモン剤は日本芝の萌芽時期や高温期は薬害が出る場合もあるので薬量や水量に注意がいる。カタバミの匍匐茎や地下茎が発達している場合には、一時的に効果があったように見えても再生してくることもあるので再処理が必要になる。群落を作らせないためには定期的な除草剤処理が有効である。

<参考文献>

長田武正著:原色日本帰化植物図鑑(1976,保育社) 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著:日本帰化雑草植物写真図鑑(2001,全国農村教育協会) 廣田伸七編著:ミニ雑草図鑑(1997,株式会社理研グリーン) 牧野富太郎著:牧野新日本植物図鑑(1961,北隆館) 大井次三郎著:標準原色図鑑全集9植物T(1967,保育社) 浅野貞夫著:原色図鑑芽ばえとたね―植物三態/芽ばえ・種子・成植物―(1995, 全国農村教育協会)、浅野貞夫日本植物生態図鑑(2005,全国農村教育協会) 清水建美編:日本の帰化植物(2003,平凡社) 岩槻秀明著:街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本(2006,秀和システム



▼カタバミ Oxalis corniculata L.

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放っておくと大きな群落を作る。(写真は5月)

茎:根際で分枝し、細い茎が地を這うように四方に伸びる。

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根:節々から根を下ろし、除去しきれない。

托葉:小さいが耳状で目立つ

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花:黄色で5弁。径1pほど。開花期:5〜10月

花後は先のとがった円柱形の果実を上向きにつける。


▼オッタチカタバミ Oxalis dillenii Jacq.

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北アメリカ原産の比較的新しい帰化植物。

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托葉(左):葉柄の基部に長さ1mmほどの卵型の托葉がつくが、小さくて目立たない
花:黄色で5弁。

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茎:浅い地中にある主根から四方に伸びた根茎から地上茎は垂直に立ち上がる茎は太くて長く(20〜50cm)、毛が多い。抜きやすい。

カタバミ(左)とオッタチカタバミ(右)
花期の花柄は上を向いているが、花後水平方向に開き、果期になると、大きく反り返るのが在来のカタバミ類にない特徴。


▼ムラサキカタバミ Oxalis corymbosa DC.

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南アメリカ原産(写真は6月) 小葉:ひとつが大きい。地上茎はなく、麟茎から柄の長い(8〜25p)葉が叢生する。

花:薄紫色で、中心付近は黄緑色。径1.7pほど。葯は白色。


▼アカカタバミ Oxalis corniculata L. f. rubihoria (Makino) H.Hara

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小葉:赤紫色。(写真は11月)

花:黄色で5弁。のどの部分に赤い輪がみられることが多い。


▼ウスアカカタバミ Oxalis corniculata L. f. tropaeoloides (Schlachter ex Planch.)R. Knuth

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小葉:葉に赤みがほんのり色づいたもの。
カタバミとアカカタバミ(f. rubriforia)の雑種か。

花:黄色で5弁。