芝地の雑草の見分け方と防除 (5)

−ヒメジョオンの仲間−


<はじめに>

 今回はムカシヨモギ(Erigeron)属のうち、ヒメジョオンとハルジオンついてみる。Erigeronは“早い老人”の意味で灰白色の毛のある春早く咲く植物をいい、もとはノボロギクをさしたともいわれる。

江戸時代末期に観賞用に導入された“紫苑”に似ているが、花や草姿が小形なので“姫紫苑”と呼ばれ、ヒメシオンがなまってヒメジョオンになった。北アメリカ原産帰化植物で明治の初めに渡来し、今では日本全土に普通に見られる。

それにやや遅れ、同じく北アメリカ原産(philadelphicusは北アメリカ“フィラデルフィアの”の意)で大正年間に帰化したハルジオンは、“春紫苑”の意で、ヒメジョオンに似るが、花がそれより早く春に咲くので、牧野が命名。特に関東地方に多い。

<共通点>

頭花が直径2cmぐらいで、外周部に舌状花があり、白色ときに淡紅色で、中心は黄色の筒状花が集まり半球形となる。茎につく葉は披針形で互生。

<見分け方>

根生葉の形と残り方、茎の内部及び分枝、蕾のつき方、葉の茎へのつき方で見分けられる。

見分け方をまとめると下の表のようになる。


 

ヒメジョオン

Erigeron annuus (L.) Pers.

ハルジオン

Erigeron philadelphicusL.

生活型

越年草

多年草

内部は白いずいで満たされる。

直立で、粗い毛があり、上方は分枝する

内部は中空

直立で、長い軟毛が密生し、分枝せず、ヒメジョオンほど大きくならない。

根生葉は長い柄があって卵形で、あらく鋸歯があり、花時には枯れている

茎につく葉は基部が狭まり、茎を抱かない。

根生葉は長楕円形で、花時にも残る

茎につく葉は柄がなく基部が広がり、茎を抱く

蕾の柄が垂れない。

花期が6〜10月

蕾の柄が垂れる

花期が4〜5月

その他

日本各地に分布。

関東地方中心に広く分布。

  は見分け方の重要点を示す。


<その他の類似雑草>

ボウズヒメジョオンErigeronannuus (L.) Pers. forma discoideus Mar.-Vict.et Rouss.:ヒメジョオンのうち頭花に舌状花がないものをいう。

ヘラバヒメジョオンErigeron strigosusMuhl.:ヒメジョオンにそっくりであるが、根生葉が、へら状倒披針形で、全縁またはわずかに低い鋸がある。茎に短い曲がった毛がまばらにあるかまたはほとんど無毛。茎につく葉はさらに細くて暗緑色で、全縁または鋸歯が非常に低い等の点で区別できる。分枝もより多い。ヒメジョオンが窒素分の多い土地を好むのに対し、やせた土地に広がる。

<発生生態と防除>

 キク科なので花期まで放っておくと冠毛で遠くまでたくさん広がってしまうので、それまでに刈り込む。刈り込むだけでは、ハルジオンは多年生で、葉まで枯らさないとびっしり地面を覆うようになるので除草剤処理が必要である。

 化学的防除は、秋(9〜10月)頃の発生初期にSU剤あるいはホルモン剤を処理する。12月以降に処理した場合は、効果の発現から枯死まで時間を要する。また、薬剤の種類によっては効果が十分に発揮できないことがあるので、翌春になって再生が見られれば速やかにホルモン剤を処理する。


ヒ メ ジ ョ オ ン

 幼苗。葉には粗い毛があり、ざらつく。(2月撮影)

根生葉は長い柄があって卵形で、あらく鋸歯があり、花時には枯れている。(11月撮影)

茎には粗い毛があり、内部は白いずいで満たされる。茎につく葉は基部が狭まり、茎を抱かない。

茎は直立で、上方は分枝する。茎につく葉は披針形あるいは長楕円形。

蕾の柄が垂れない。花期は6〜10月。(10月撮影)

草丈は30〜130cmで、ハルジオンより大きくなる。

(6月撮影)


ハ ル ジ オ ン

幼苗。表面に白色短毛を密生。

根生葉は長楕円形花時にも残る。(10月撮影)

多年生なので、根生葉がびっしり地面を覆う。

葉や茎に長い軟毛が密生する。茎の内部は中空

茎につく葉は柄がなく基部が広がり茎を抱く

蕾の柄が垂れる。(5月撮影)

花期は4〜5月でヒメジョオンより早い

茎は直立で30〜80cmで、分枝せずヒメジョオンほど大きくならない