芝地の雑草の見分け方(8)

−ギシギシの仲間−

<はじめに>

 今回はタデ科の植物で、ギシギシ属(Rumex)についてみる。ギシギシの名は不明であるが、果実がギシギシと詰まってつくから、また、果穂を振るとギシギシと音がするからついたといわれている。漢名は洋蹄。この在来のギシギシよりも葉が細長くより波打つナガハギシギシ (長葉洋蹄)や、痩せて細い感じのアレチギシギシ(荒地洋蹄)は明治時代に渡来した。ともにヨーロッパ原産帰化植物で、今は日本中に雑草化している。スイバは酸い葉の意で、別名スカンポと呼ばれる。茎や葉にシュウ酸を含み酸味があることによる。ギシギシもスイバも薬用にも食用にもなる。

<共通点>

多年生。秋に芽を出し、根生葉で越冬する。茎に縦稜線がある。全体に酸味がある。茎の上部から分枝した花序には、段状に多数の柄のある小花を輪生し、葉状苞が混ざる。花には花被が6枚あり、花後内側の3枚が大きくなり、翼となって果実を包む。花柱は3個で、柱頭は房状。そう果は3稜形。

<見分け方>

花後内花被の3枚が大きくなり、翼となって果実を包み、この翼の中央にこぶ状突起(瘤体とも呼ぶ)を持つものがある。この内花被の形、こぶ状突起(瘤体) の有無、ヘリに歯があるかどうかで区別できる。スイバは葉身の基部が矢じり形になるので区別できる。見分け方をまとめると下の表のようになる。

ナガハギシギシ

Rumex crispus L.

アレチギシギシ

Rumex conglomeratus Murr.

スイバ

Rumex acetosa L.

直立、高さ1〜1.5m。

直立、高さ40〜100cm。暗紫色で、他のギシギシ類に比べて細い。枝がほぼ直角に出る。

直立、高さ30〜80cm。

深緑色で、根生葉は長楕円形で、へりが著しくちじれて波打つ。茎葉も縁が波打ち上部ほど幅が狭い。

根生葉は長柄があり、葉脈とともにしばしば暗紫色を帯びる。先は円く、卵状披針形で、基部は円形から浅い心臓形。茎葉は短柄があるかまたは無柄。

根生葉は長い柄があり、長楕円形。葉身の基部は矢じり形。茎葉は皮針状長楕円形で茎を抱く。ギシギシ類に比べて質は薄く、あまり光沢がない。

緑色で輪生し、段と段の間が少し離れる。花期は5〜9月

赤味を帯び、階段状に輪生し、花の集まった段と段の間がかなり離れる。花期は6〜7月。

雌雄異株。雄花は花被片6とおしべが6あり、開花すればおしべが下向きに垂れて黄色のやくが目立つ。雌花は花被片6と雌ずい1があり、雌ずいは3個の花柱があり、柱頭は細裂し、赤い毛糸の束状。小花を花軸のまわりに多数輪生する。花期は5〜8月。

果実

果時の3個の内花被片は先が円く、ヘリに歯がなく中央下部はふくれて楕円形、緑白色のこぶ(瘤体)となる。花穂は後に紅く染まることが多い。

果時の3個の内花被片は舌形で歯がなく、長卵形の瘤がある

花が終わると内花被が円いうちわのようになってそう果を包み、ほぼ円形で瘤がない

<その他の類似雑草>

ギシギシ Rumex japonicus Houtt.: 在来のギシギシで、茎は直立、高さ40〜100cmで太い根生葉は長い柄をつけ細長く基部はハート型。葉がナガハギシギシよりもっと明るい緑色で、ちじみ方が少なく、特に上部の葉はほとんど平坦で幅が狭く無柄。花期は5〜8月。茎の上部の節々に緑色の花を輪生して長い穂を作り果実を結ぶ頃には隙間がないようになる。スイバが雌雄異株であるのに対し、同じ株に両性花と雌花をつけ、茎や花が赤味を帯びない点で区別できる。果時の内花被片は先が三角形に尖り、下半分には微歯があり 、熟すと褐色に変わる。根は粗大で黄色く薬用 (シノネ) になり、若芽はぬめりがあり食用とする。

エゾノギシギシ Rumex obutusiforius L.:茎は直立、高さ50 〜130cm 、太くてしばしば紅紫色に染まる。根生葉がギシギシより幅広く大きく、ヘリが細かく波打ち、また中央脈が赤味を帯び、葉柄は長く葉の裏面脈状に毛状突起がある。花期は7〜9月。花穂もギシギシより細長く、赤褐色 (ギシギシは緑色)で区別がつく。内花被はギシギシよりも小さく、卵状三角形でへりに長く尖った少数の歯 がある。ヨーロッパ原産の帰化植物。北海道に多かったが最近は各地に広がっている。

ヒメスイバ Rumex acetosella L.:茎は直立し、細長く緑色で、高さ20〜50cm。全体がスイバより小形。根生葉は長い柄があり、先端は尖り、基部はほこ形で全縁。茎葉は柄が短く、最上部のものは基部がはり出さない。雌雄異株。雄花は 6花被で、雄ずい6個が開花時に垂れ下がる。雌花は6花被、1雌ずいがあり花柱が3個で、柱頭は赤く房状に裂ける根茎は地中を横にはい、盛んに子株を分けしばしば群生 する。明治時代の初めに渡来したヨーロッパ原産帰化植物。

<発生生態>

種子・地下茎で繁殖。秋に芽を出し、根生葉で越冬する。

<参考文献>

長田武正著:原色日本帰化植物図鑑(1976,保育社) 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著:日本帰化雑草植物写真図鑑(2001,全国農村教育協会) 廣田伸七編著:ミニ雑草図鑑(1997,株式会社理研グリーン) 牧野富太郎著:牧野新日本植物図鑑 (1961,北隆館) 浅野貞夫・廣田伸七編著:図と写真で見る似た草80種の見分け方(2002,全国農村教育協会) 大井次三郎著:標準原色図鑑全集9植物U(1967,保育社) 林弥栄総監修/畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道監修:野草見分け方のポイント図鑑(2003,講談社)  



ナガハギシギシ

葉は深緑色で、根生葉は長楕円形で、へりが著しくちじれて波打つ

根は太く、内部は黄色い。

花は緑色で輪生し、段と段の間が少し離れる。花期は5〜9月。茎葉も縁が波打ち上部ほど幅が狭い。

花後の内花被片は先が円く、ヘリに歯がなく中央下部はふくれて楕円形、緑白色のこぶ( 瘤体) となる。花穂は後に紅く染まることが多い。

果実の楕円形のこぶ(瘤体)は3個あり、中に3稜形のそう果を1個包む



アレチギシギシ

根生葉は長柄があり、葉脈とともにしばしば暗紫色を帯びる。先は円く、基部は円形から浅い心臓形

茎は直立で、高さ40〜100cm。暗紫色で、他のギシギシ類に比べて細い。茎葉は短柄があるかまたは無柄。

茎は暗紫色で、枝がほぼ直角に出る花は階段状に輪生し、花の集まった段と段の間がかなり離れる。花期は6〜7月。

果時の3個の内花被片は舌形で歯がなく、長卵形の瘤がある



スイバ

茎は直立で、高さ30〜80cm。雌雄異株。(写真は雄株)

葉身の基部は矢じり形。茎葉は皮針状長楕円形で茎を抱く。ギシギシ類に比べて質は薄く、あまり光沢がない。

小花を花軸のまわりに多数輪生する。花期は5〜8月。

雄花序。雄花序は雌花序より幅が広い。

雌花序。

内花被が円いうちわのようになってそう果を包み、ほぼ円形で瘤がない