芝地の雑草の見分け方と防除 (19)

−アブラナ科雑草の仲間−


<はじめに>

 今回はアブラナ科雑草のナズナ、タネツケバナ、ハルザキヤマガラシ、イヌガラシについてみる。ナズナの属名のCapssella はラテン語のCapsa(袋)から果実の中に種子が入っていることを示したものとされている。種名のbursa-pastorisも果実の形が‘羊飼いの財布’に似ることからきている。和名は愛する菜という意味の「撫菜」(なでな)が訛って「ナズナ」となったとも言われている。この果実の柄を引っ張って、花穂を振ると、シャラシャラと音がし、そのことからペンペングサやガラガラ、シャミセングサなどの愛称でも呼ばれている。春の七草のひとつである。

 タネツケバナの種名flexuosaは‘左右に曲がっている’いう意味で、果実のつき方によるものと思われる。和名は種漬花で米の種を水に漬けるころにタネツケバナの花がよく咲くためである。

 ハルザキヤマガラシはヨーロッパ原産の帰化植物で、牧草地や畑、河川敷で群落を作っており、外来生物法要注意種になっている。

 イヌガラシは少し湿り気のあるところに普通に生える。

<共通点>

 アブラナ科の特徴の4弁の十字状花で、ほぼ同じ。

<見分け方>

 葉の形、花の色、果実の形や長さ、毛の有無などで見分ける。それぞれの特徴は写真下の解説のようになる。

<その他の類似雑草>

 グンバイナズナThlaspi arvense L.越年草。ヨーロッパ原産帰化植物。全体無毛。葉は狭卵形で、鋸歯がある。茎につく葉は矢じり型に広がって茎を抱く。花は白色。果実は扁平で、軍配形で、へりは広いひれ(翼)となり、先端は凹む。

 マメグンバイナズナL epidium virginicum L.越年草。北アメリカ原産帰化植物。根出葉は冬にロゼットを作り、長柄があり、羽状に分裂し、花時には枯死する。茎につく葉は深緑色で長楕円形、不規則な鋸歯あり。茎の上部が多数枝分かれする。花は白色。果実は扁平で、ほぼ円形、先に小さなくぼみがある。種子は各室に1個のみで、2種子。

 イヌナズナDraba nemorosa L.越年草。葉はへら状長楕円形で、全面に星形の毛を密生する。花は黄色。果実は狭い楕円形で、短毛を密生。

 シロイヌナズナArabidopsis thaliana Heynh.越年草。根出葉は倒卵形〜広い倒披針形で、低い鋸歯があり、両面に毛がある。茎の基部に毛が密生する。花は白花果実は円柱状。植物で初めて全ゲノムが解読され、いろいろな研究材料として使われている。

 コタネツケバナCardamine parviflora L.ヨーロッパ原産帰化植物。越年草。食べるとカラシナのようなピリッとした辛みがある。種子には翼がある。

 ヤマガラシBarbarea orthoceras Ledeb.在来のヤマガラシは高山帯の植物で、花柱は子房よりはるかに短く、果実のくちばしは幅と長さがほぼ同じ。果実の長さは4p以上。

 スカシタゴボウRorippa islandica Borb.越年草。葉が羽状に深く切れ込む。5〜7月に黄色の花をつける。果実は長楕円形で5〜7oの短角

<発生生態>

 秋に発生し、ロゼットで越冬する。翌春急激に成長し、花を咲かせる。果実が熟すと角果が裂開し、種が落ちて広がる。この時、タネツケバナでは果皮が二つに分かれて勢いよく反転し、中の種が四方八方に飛び散って、いたるところで発生する。ハルザキヤマガラシとイヌガラシは根でも繁殖する。

<防除法>

 秋に広葉雑草用の土壌処理剤を処理していれば、防除が困難な程、発生量が増えることはない。発生量が少ない場合には茎葉処理でも有効であるが、明らかに発生量が多い場合には、秋から冬にかけて発生前処理剤を使用するのが最も効果的と考える。

<参考文献>

長田武正著:原色日本帰化植物図鑑(1976,保育社) 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著:日本帰化雑草植物写真図鑑(2001,全国農村教育協会) 廣田伸七編著:ミニ雑草図鑑(1997,株式会社理研グリーン) 牧野富太郎著:牧野新日本植物図鑑(1961,北隆館) 大井次三郎著:標準原色図鑑全集9植物T(1967,保育社) 浅野貞夫著:原色図鑑芽ばえとたね―植物三態/芽ばえ・種子・成植物―(1995, 全国農村教育協会)、浅野貞夫日本植物生態図鑑(2005,全国農村教育協会) 清水建美編:日本の帰化植物(2003,平凡社) 岩槻秀明著:街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本(2006,秀和システム)



▼ナズナ Capsella bursa-pastoris Medik.

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越年生。根出葉は平らに地に広がるロゼット(円座)をつくり、 羽状に深く切れ込む。(写真は12月)

茎: 直立し、高さ20〜50p

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花:白色。(写真は5月)     果実:扁平で倒三角形
開花期:3〜5月。

マメグンバイナズナLepidium virginicum L.:
茎の上部が多数枝分かれする。
花は白色。果実は扁平で、ほぼ円形


▼タネツケバナ Cardamine flexuosa With.

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越年生。葉:羽状に裂け、7〜15個の小葉からなり、頂小葉は他よりやや大きい。

茎:高さ10〜30p。下部はふつう暗紫色を帯びる
花:白色。(写真は3月)

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幼苗(写真は11月)

果実:無毛。細い円柱形で長さ2pほど。


▼ハルザキヤマガラシ Barbarea vurgaris R. Br.

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多年草。葉:根出葉は羽状複葉。頂小葉はほぼ円形。(写真は9月)

花:黄色。アブラナをコンパクトにしたような感じ。

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葉面は濃緑色でやや厚くて光沢がある。

果実:長さ2〜3pの長角で、くちばし(残存花柱)が長さ1.8〜3oで幅より大きい。


▼イヌガラシ Rorippa indica (L.) Hieron

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多年草。葉:長楕円形で、粗い鋸歯がある。

花:黄色。果実:細長い円筒状で、上向きに湾曲する長角果