病 名 炭疽病(寒地型芝草)

病原体

(学名)

Colletotrichum sp.

菌糸幅2.2μm〜3.4μm,平均2.5μm

分生子:22.5×3.8μm

英語名 Anthracnose

写真1:初期症状(上井政文氏提供)

写真2:診断の目安になる剛毛や分生子盤(層)(矢印)

写真3:発生中期、薬剤防除が可能な限界症状

写真4:剛毛が未発達の分生子盤(層)

写真5:分生子盤(層)の分生子形成細胞の先に生じた分生子(矢印)

写真6:激発状況(張り替えになることもある)

(山田 明氏提供)

写真7:葉鞘部によく見られる付着器

剛毛は本病の診断の重要な目安になるが、常に形成されるとは限らない。形成初期の分生子盤(層)には剛毛は認められない。

分生子盤(層)の分生子形成細胞の先に分生子が形成されており、さらに分生子が多量に散在しておれば、病勢は強く治療効果が高い殺菌剤による緊急防除が必要ということになる。

症  状 (診断のポイント)

 葉の病気で、4月〜10月に発生。盛夏に多発し、対応策を誤ると大きな被害を出す。低温時のパッチは黄色で、気温が上昇すると褐色、赤褐色となる。直径は5〜50cm、またはそれ以上で、通常円形、融合すると不整形となる。パッチの縁が不鮮明である発生初期の本病の症状は、同じ時期に発生する発生初期の葉腐病(ブラウンパッチ)に類似する。しかし、進行したブラウンパッチは、パッチの縁が鮮明になり、時として緑が紫褐色〜灰褐色のリング状、いわゆるスモーキーリングを形成する点で炭疽病とは区別できる。
 また、炭疽病のパッチの縁の一部をビニール袋内の湿室に一夜置いても、灰色の菌糸を生じることはないが、ブラウンパッチの場合は生じることが多いので区別できる。
 立枯病に続いて本症状が発生してきたり、本症状が葉枯病と併発していたり、本症状に続いて葉枯病が発生してきたりする場合などがあるので、注意を要する。


写真8:初期症状の外周部(葉面の病徴をよく観察すること)
炭疽病とまぎらわしいその他の病気や症状

写真9:ベントグラス(ペンクロス)を播種直後のグリーンに発生したピシウム菌による苗立枯病(この場合、根部は淡褐色で水浸状に軟化、消失していることが多い)

写真10:散水むらによる乾燥害(手前)

写真11:コガネムシの幼虫による食害(山田 明氏提供)

写真12: 炭疽病が発生していた個所(短い矢印)に新たに葉腐病(ブラウンパッチ)が発生してきた(長い矢印)(前者のパッチは白味を帯びて回復中であり、後者のパッチは黄褐色を呈していて進行中)
発 生 条 件
春から秋にかけてターフ面が多湿になる時期に発生。
防  除
予防作業― @窒素不足で多発する。

A病原菌はサッチ中に生存するので、サッチの除去に努める。

B過度の散水はしない。

C競技会の開催が予定されている場合は、特に発生歴があるグリーンには保護的殺菌剤を予防散布する。

治療対策―

@浸透移行性の治療効果がある殺菌剤を発生初期に散布。

A本病はブラウンパッチなどのリゾクトニア病と同時あるいはそれに引き続いて発生することが多いので、これらが同時に防除できる殺菌剤を選ぶと良い。

B本病菌は耐性化しやすいので、治療効果がある同一系統の殺菌剤の連用を避け、保護的殺菌剤とのローテーション散布をする。

写真13:炭疽病と葉枯病の併発―葉枯病には効果は低いが、炭疽病に有効な薬剤散布区(真中と左端)、炭疽病にも葉枯病にもあまり効果がない薬剤散布区(右端)、炭疽病と葉枯病に比較的効果がある薬剤の散布区(右から2つ目)、無散布対照区(左から2つ目)
引用文献 第一研究室:ターフニュース No.89(2003−Sept.).病害情報ネットワーク―炭疽病(寒地型芝草)(印刷中)